流体CGとは?映像制作で使われる理由と得意な分野を解説

流体CGは、水や油、煙、炎など“動きのある物質”をリアルに描写するための3DCG技術です。本記事では、流体CGの基本、映像分野で活用される理由、得意とする業界や演出例などをご紹介致します。


目次

流体CGとは?──“動きのある物質”を表現する3DCG技術

流体CGとは、水・油・煙・炎など、形が一定でない物質の動きをリアルに再現する3DCG技術です。液体や気体のように、時間とともに形状や動きが大きく変化する素材は、通常のモデリングやアニメーションでは表現が難しく、粒子の動きを再現して動きを作っていくためのシミュレーション技術が用いられます。

この物理演算に基づく流体シミュレーションを用いてパーティクルやボリュームの挙動を制御することで、自然な流れや拡散を描写していきます。リアルな液体表現を実現するには、表面の反射や屈折、粘度、表面張力といった多様なパラメータを調整する必要があり、高度な技術と経験が求められます。気体・液体と共通する物理法則や、それぞれに特有のパラメータなどを設定することで、液体は液体らしく、気体は気体特有の動きなどを再現することが可能になります。

また、実写では捉えにくい「空中での液体の舞い方」や「煙がゆっくり立ち上る様子」なども、CGなら細かく演出が可能です。液体や気体は粒子単位で動きを計算されているのでスローモーションといった速度の変更や、視点の自由な移動も行えますので、実写では不可能な映像表現を実現することができます。

その反面、計算コストが高く、時間もかかってしまうため、限られた時間内で結果を出すためには、計算精度を調整する等のノウハウも多く必要になってきます。


なぜ流体CGが映像制作に使われるのか?メリットを解説

流体CGが映像制作で重宝されるのは、その”演出の自由度”にあります。カメラワーク、重力や粘度の調整、色や質感のコントロールなど、力のかかる方向や、風、乱流といったあらゆるパラメータを意図に応じて調整できるため、制作者のイメージを正確に映像化できます。

実写での液体表現には、多くの制約が伴います。光の反射や飛び散り方を狙い通りに撮ることは困難で、特殊な設備や高速度カメラが必要になるケースもあります。さらに、繰り返し撮影するには大変なコストと時間がかかります。

その点、流体CGであれば、演出に合わせて何度でも調整可能で、イメージのすり合わせがしやすく、撮影時のリスクや制限を回避できます。また、完成したデータを他の媒体やカットに展開することも容易で、マーケティング素材としての再利用性も高くなります。

さらに、シミュレーション結果が残っている状態であれば、解像度やカメラの位置、角度、照明の強さなどを自由に変えて、レンダリングし直しことも可能です。

また、実在しない製品の仕組みや、目に見えない内部構造も、CGを使えば「リアルに伝わる」形で表現可能です。水や煙といった動的な素材を映像に加えることで、視覚的なインパクトや美しさが増し、広告・プロモーション映像においては”印象に残る映像”として大きな武器になります。


流体CGが得意とする活用分野と代表的な演出例

食品・飲料業界での流体CG活用

  • とろみのある液体が素材に絡みつく
  • 炭酸が弾ける様子や泡が広がる動き
  • ソースやドレッシングがゆっくり流れ落ちる演出

食欲を刺激するような“動き”を表現することで、味覚以外の五感にも訴えるプロモーションが可能になります。

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