ChatGPTを使ってみたけれど「思ったような回答が返ってこない」と感じたことはありませんか?
実はその原因、多くの場合「プロンプト(指示文)」にあります。
本記事では、ChatGPTの性能を最大限に引き出すためのプロンプト作成のコツと注意点を、具体例を交えながらわかりやすく解説します。初心者にも、中級者にも役立つ「完全ガイド」です。
プロンプトとは何か?
プロンプトとは、ChatGPTに与える「指示文」のことです。 言葉の選び方や構成によって、AIの出力品質が大きく左右されます。 ※文章・画像・コードのいずれにおいても
AIは多くの知識を持っていますが、決して万能ではなく、あくまで“指示に忠実な補助者”という立場になります。プロンプトの書き方を知らずにただお願いするだけでは、本来のAIの知識を引き出すどころか、嘘をつかれてしまうこともありえます。しかしながら 適切なプロンプトがあれば、まるで専属のクリエイターやリサーチャーのような働きをしてくれるのです。いかにAIが能力を引き出しやすいプロンプトを構築するかが重要になります。
※プロンプトは「ChatGPT 指示文」「AIへの質問」「生成AI 活用方法」などとも呼ばれています。
効果的なプロンプトの基本ルール
そんなプロンプトですが、効果的なプロンプトには基本的なルールがあります。まずは以下の3点が重要です。
- 目的を明確にする:何を求めているかを明示する
- 背景や制約を伝える:条件や状況を共有する
- 出力形式を指定する:箇条書き、Markdown、表形式など
では、これらの基本的なルールを守りつつ、具体的にどのようなことに気をつければよいか見ていきましょう。
ChatGPTプロンプト設計の7つのコツ
1.具体的に書く
抽象的な指示ではAIが意図を正確に把握できません。 たとえば「魅力的な文章を書いて」ではなく、 「30代女性向けに、自然派化粧品の魅力をカジュアルな口調で300文字以内にまとめてください」のように、 対象、目的、文体、文字数まで具体的に伝えると、的確な出力が得られやすくなります。もちろん、内容に矛盾がないように、かつ簡潔に書く方が伝わりやすいように思います。
2.役割を与える
ChatGPTは与えられた“役割”に応じて出力スタイルを変えます。 「SEOライターとして提案してください」「3DCGディレクターとして意見を述べてください」のように仮想的な専門家の視点を与えると、より実務的で専門的な内容が返ってきます。言い方が正しいかわかりませんが、指示に従ってなりきって回答してくれるという可愛い面があります。
3.構造を指定する
出力をそのまま業務に活かすには、形式の指定が効果的です。 「以下の内容を、h2見出し+段落形式でまとめてください」「表形式で比較してください」「HTML構造で出力してください」といった具合に形式指定をすることで、コピー&ペースト後の編集工数を削減できます。この部分はさすがIT分野です。複雑な構造や段落も楽々と組んでくれます。表組みなどは人力では限界もありますので、うまく指示さえできれば、これは強力だと思いますね。
4.ステップバイステップで誘導する
複雑な内容を一度に依頼すると、出力が不安定になりやすい傾向があります。 そのため、「まず構成案を出して」「次に第1章の本文を」「最後にまとめを」と分割して依頼すると、意図通りの成果物が得られやすくなります。
特に、GPTはプランにより記憶力に差が出ますので、なるべく細かく区切って指示をだしてあげれば矛盾なく出力してくれます。
5.良い例・悪い例を出す
抽象的な要望では伝わらない場合、「○○○、このような出力が理想です」「XXX、このような出力は避けたいです」と良し悪しの例を添えると、AIがニュアンスをより正確に理解しやすくなります。 たとえば、「堅苦しい文章は避けてください」だけではなく、実際の堅苦しい例とそれを改善した例を並べて示すと効果的です。
6.一貫したトーンを求める
ChatGPTは、指定された文体・トーンに沿って出力が可能です。 「敬語で統一してください」「親しみやすい口調で」「論文調で」など、読み手や用途に合った文体を指定することで、目的に合った文書が得られます。 また、過去に出力された内容とトーンを揃えたい場合も、具体的に前提を伝えることで再現性が高まります。
7.途中で調整を入れる
初回出力で完璧な結果が出ないことも多くあります。 「ここをもっと簡潔にしてください」「この段落の文体が違和感あるので修正して」など、部分的な指摘をフィードバックとして与えることで、AIは改善を繰り返し、最終的により精度の高いアウトプットに仕上げていくことが可能です。
NGプロンプトと改善例
NG例 | 問題点 | 改善例 |
---|---|---|
良い文章を書いて | 抽象的すぎる | 「映像制作会社の事例紹介ページ向けに、200字で魅力を伝える文章を」 |
面白くして | 主観的・不明瞭 | 「読者を笑わせる軽妙な1行ジョークを3案ください」 |
一発で完璧に出して | 詰め込みすぎ | ステップを分けて依頼する |
実用例で学ぶ:目的別プロンプト集
▶ LPのキャッチコピーを作りたい
- ❌「キャッチコピー考えて」
- ✅「30~40代女性に刺さる、自然派スキンケア製品のキャッチコピーを10案」
▶ 3DCGの提案書に入れる要約を作成したい
- ❌「要約して」
- ✅「以下の3DCG制作の内容を、非専門家でもわかるように300字で要約してください」+内容添付
▶ コードのバグ調査
- ❌「エラーになる」
- ✅「Pythonコードで’IndexError’が発生します。以下のコードの原因と修正を教えてください」+コード添付
応用編:ChatGPTの高度な活用法
ChatGPTは単なるチャットツールにとどまらず、使い方次第で業務効率化やアイデア創出の強力なパートナーとなります。以下では、特にプロフェッショナル向けに有効な活用法を3つ紹介します。
記憶機能を活用する(Plus/Teamプラン)
ChatGPTには、やり取りの中でユーザーの好みや過去の会話内容を「記憶」する機能があります(※有料プランのみ)。たとえば「自社の製品構成」や「トーンの好み」を覚えさせておくことで、毎回同じ説明を繰り返す必要がなくなり、やり取りのスピードと精度が大幅に向上します。
また、PlusとTeamでは、記憶できる量や一度に把握できる量に差があるように思います。Plusの場合は、より細かく区切るなどプロンプトを工夫する方が良い結果になりそうです。
会話スタイルをカスタマイズする(カスタムGPT)
特定の業務やチームで使うために、ChatGPTの応答スタイルや知識ベースを事前にカスタマイズすることができます。たとえば「3DCGディレクターとしての発言スタイル」「SEOの構成テンプレートを覚えたライター」など、用途に応じて“カスタムGPT”を作ることで、業務ごとに最適な出力を得ることができます。
私の場合は、画像のキャプションを生成するGPTを作ることでキャプションのブレが少なくなるようにしています。細かいことなのですが、キャプションのブレがLoRAの安定性と再現性に影響がでてきくるように感じています。
社内業務に組み込む(API/ワークフロー自動化)
ChatGPTのAPIを活用すれば、Webアプリケーションや業務ツールに組み込んで自動化することも可能です。たとえば、問い合わせ対応の一次返信、見積りメールの下書き、記事構成の自動提案など、ルーチンワークの短縮に大きく寄与します。
具体的な例をここで出すことは出来ないのですが、これについては将来的に楽しみな分野です。ただ気をつけたいのは、APIを使用するには別途料金(1トークン毎)が発生するので、個人での利用はあまりないかもしれません。
比較的よくきく疑問
まとめ
ChatGPTを使いこなすカギは「プロンプト設計力」にあり、プロンプト設計力とは、AIにどのように指示すれば動きやすいか、と言い換えることが出来ると思います。プログラムを書いたことのある人であれば、なんとなくわかるのではないかと思いますが、アルゴリズム的な発想に近いような気もします。 人間らしい言い方や、日本語的な表現ではうまくいかず、むしろ人間らしさを求めるのではなく、明確に・簡潔で・丁寧に指示を出す。 誰にでもわかるように順序立てて説明していく、というイメージが良いかと思います。
AIと聞くと万能のようなイメージもありますが、これも道具ですので、いかにうまく使えるかは使い手次第ということになります。ただ、有効に使えればこれほど便利なものはありませんよ。(実感)