映像という資産|技術継承・教育・企業理念を“未来に遺す”活用法

目次

映像は“ただ伝えるだけ”ではない

「映像」は、教育、技術継承、地域記録など、あらゆる場面で“資産”として活用される時代を迎えています。

皆さんは「映像」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?

テレビのドキュメンタリー、映画、企業のPR動画、あるいはYouTubeの教育チャンネルかもしれません。いずれも“何かを伝える”ために作られたものです。「伝えるため」に最適化された記録が、映像の本質だと私は考えています。

しかし映像の持つ価値はそれにとどまりません。映像は出来事や事象を記録し、伝えた後に、それを未来に残すことができます。しかも、それは静止画(写真)とは異なり、時間の流れ・動作・声・雰囲気までも含めた“体験”を記録できます。これは写真以上に感じることが出来る記録と言えます。

映像制作する人

映像は「技術」「文化」「思想」を継承する

以下のような事例は、映像の価値を「資産」として明確に示しています。

1. 職人の技術伝承

日本の伝統工芸や町工場における職人の技は、長年の経験によって培われた“身体知”そのものです。手の角度、道具の使い方、タイミング…。これらを言語化するのは非常に難しく、映像でこそ正確に残せる伝承の手段です。
たとえば:

  • 刃物研ぎの「音」と「力の抜き方」
  • 肉加工における枝肉処理の包丁さばき、包丁の角度やスピード
  • 宮大工職人の木組みの組み方、カットの角度や道具の使い方など

2. 安全教育・マニュアル映像

工場や建設現場、学校、病院など、安全管理が必要な現場では、静的なマニュアルでは伝えきれない部分が多く存在します。また、災害時にどう行動すべきか、に加え、どんなことが起きたのか?を知ることは危険余地においては非常に重要になります。
たとえば:

  • 危険行動のシミュレーション(事故例)
  • 機械の緊急停止手順の動作確認
  • 火災・地震時の避難フロー

こうした映像は、リスク低減と教育効率の向上という2つの意味で、重要な資産となります。

3. “達人の技”の可視化と保存

剣道、居合道、弓道といった武道や、茶道、華道、能・狂言などの芸道における達人の動き。
これらは、“見なければわからない”感覚的な美学や境地を伴います。

単なる説明文や手順書では伝わらない、「“間”の取り方」「気迫」「重心移動」などは、映像であれば何十年後にも再現可能な形で伝えることができます。

宮大工の建築現場イメージ

4. 地域社会や仕組みの記録

地域独自の行事・祭り、消防団・青年団・町内会の活動、神社の神事や口伝される風習など。
こうした「地域の仕組み」は、少子高齢化や過疎化によって急速に失われつつあります。
映像で記録すれば、

  • 地域の文化資産として保存
  • 新住民や次世代への引き継ぎ
  • 地域振興・観光資源としての活用

といった多面的な効果が期待できます。

5. 企業の仕組みや哲学の記録

企業にとっても、映像は「経営資産」となり得ます。

  • 経営者の理念や哲学の記録
  • 社内での判断基準・価値観の共有
  • 属人化しやすい業務フローや意思決定の解説
  • 新人研修に活用できる文化・風土の紹介映像

これらは、世代交代・拠点展開・海外展開などで威力を発揮します。
特にこれからの企業においては、属人化しない組織のために必須といえる記録だと思います。文字でのドキュメントがあっても映像での記録があることでより理解は深まります。

管理されていない“無自覚な資産”

しかし現実には、こうした映像資産をきちんと管理・保存していないケースも多いのです。

  • 昔撮ったビデオテープが再生できないまま放置
  • 教育用映像が古いフォーマットで閲覧困難
  • 撮影そのものをしておらず、技術や知見が失われている

「記録していないことは、存在しなかったことと同じ」。
これはあらゆる組織・社会にとって、深刻な損失です。

また、ビデオテープやDVD等が残っていたとしても、それらの媒体には媒体自体の限界があり、10年後には再生ができない可能性があります。テープや板の劣化、再生機の販売終了にともなう入手性の問題などです。
記録データは定期的に、バックアップや媒体の移行を行わなければなりません。

VHSテープ

映像は“未来への投資”でもある

映像は、今この瞬間の記録でありながら、未来の誰かにとっての“学び”や“気づき”となる投資です。

それは自分の子や孫かもしれません。これから入社してくる社員かもしれません。あるいは、まだ生まれていない未来の地域住民かもしれません。

終わりに 〜私たちが「遺せる」もの〜

映像は、記録であり、遺産であり、文化そのものです。

だからこそ私は、今後も「伝える」ためだけではなく、「遺す」ための映像づくりを追求していきたいと考えています。
そして、もっと多くの人や組織が、映像を“未来に残すべき資産”として活用する時代が来ることを願っています。

映像を「資産」として残したいとお考えで、具体的にどうしたら良いのか不安な方は、弊社までお問い合わせください。私たちフィジカルアイでは、技術・文化・思想を“映像という形”で未来に遺すお手伝いをしています。
「まず何から始めればいいのか?」「過去の映像をどう活かせるか?」など、小さなご相談からでもお気軽にお問い合わせください。

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