はじめに
老化を映像で表現するモーションは、モーフィングと呼ばれる技術で従来はVFXでおこなれる領域でした。
AIによる生成でこのモーションを生成してみたいと思います。
制作の流れ
静止画の生成
静止画を作成します。生成はFireflyで行います。
プロンプトは下記のものを使用しました。
A Japanese woman in her early 20s with refined, natural beauty and a calm expression.

画像の編集
生成した画像を元に編集していきます。生成するのは老化した画像です。
Fireflyで参照画像として先程生成した画像を使用します。

プロンプトは下記です。
この女性をポーズ、構図、表情をそのままで70歳に

動画の生成
生成された画像をスタートフレームとエンドフレームに指定して動画生成を行います。
動画生成はFireflyで行います。

プロンプトは下記です。
老化していく、表情、ポーズは変えない
完成映像
これが出来上がった映像です。

考察:AIが拓くリアルな「老化モーション」表現の可能性
以上の作業、時間にすると2~3時間もあれば出来上がりました。
従来のVFXによる老化モーションに比べると、かなりの時間短縮になったと思います。
このように、AIを活用した映像制作は、従来のVFXによる老化モーション表現に比べ、モーション生成の工程を大幅に効率化できるようになってきました。AIが人体のバランスや動きを自動で補完することで、短時間でも自然な変化を再現でき、制作の初期段階から全体のイメージを把握しやすくなります。
もちろん、AIの生成結果がそのまま完成品になるわけではなく、仕上げの調整や表現の方向づけには人の感覚が欠かせません。けれどAIによってベースとなるモーションが早く得られるため、修正作業にすぐ取りかかれるという点で作業効率は確実に向上しています。
このようなワークフローは、CGや映像制作の現場において「スピードと品質の両立」を現実的に支える方法として注目されています。AIを活用することで、これまで時間のかかっていたモーション生成がより短期間で試せるようになり、限られた時間の中でもより完成度の高い映像表現を目指せる環境になってきたと感じられます。

石水修司 株式会社フィジカルアイ代表/Adobe Community Expert
ベーマガに熱中した少年時代から、ベーカム時代の映像制作を経て、現在は3DCG・VFX・生成AIを融合した映像表現を手がける。Lancer of the Year 2016、CGWORLD「CGごはん」選外優秀賞。今治市在住。