春になり新しくCG制作を始めようとされる方向けに弊社の作業で使用しているマシンのスペックをご紹介致します。
機種選定等の参考になりましたら幸いです。
使用用途
使用用途:もちろん3DCG制作(モデリング、レンダリング、コンポジット等)
使用ツール:使用頻度の高いもの
・CINEMA 4D(主なプラグインx-particles、turbulenceFD、Realflow、Redshift、Octane)
・UnrealEngine4
・Realflow
・ZBrush
・Blender
・AfterEffects
マシン構成
パーツ | 品名 |
---|---|
メーカー | 自社組み立て |
CPU | Ryzen9 3950X |
マザーボード | ASUS PRIME X570-PRO |
メモリ | DDR4-2600 64GB(16GB✕4) |
SSD | 512GB+1TB(システム、キャッシュ) |
HDD | 8TB(データ、シミュレーションキャッシュ) |
GPU |
GeforceRTX3090 QuadroRTX5000 |
電源 | Corsair HX1200(1200W 80plus platinum) |
ケース | Corsair 4000D |
モニタ |
DELL U3419W品名 EIZO EV2736W |
サブマシン |
マウスコンピュータ DAIV(シミュレーション演算・作業用) マウスコンピュータ G-tune(レンダリング用) ※1世代前の作業マシンを流用 |
選定理由
作業時の快適性とシミュレーションの演算速度を優先しています。特にシミュレーションはCPUに依存するものが多かった為、コア数の多いものを選定しています。Ryzen9の上位にThreadripperがありますが、費用的な面と供給的な面もあり、現状ではRyzen9での運用を行っております。またGPUについては、搭載GPUメモリの多いものを選定しております。GPUについては画面出力はGeforceRTX3090から行い、QuadroRTX5000は演算のみの配分となっています。
システムファイルとキャッシュファイルはSSDに記録されています。SSDはM.2 NVMeのもので読み込みは2,000MB/s程度の速度が出ています。シミュレーションのキャッシュとデータ保存に使用しているHDDは8TBのもので、こちらの読み込み速度は180MB/s程度になります。GPU2枚刺しということもありますが、レンダリング時の最大省電力が600Wを超えることもありますので、電源は1200Wを搭載しています。
構成に関する考察
CPU
まず、マルチコアをフルに活用するようなシーンが少ないのであれば、コア数は8~16コア(論理コア含む)でも良いと思います。冷却に関しては3DCG制作でレンダリングに使用する場合は、長時間の運用が考えられますので、空冷よりも水冷が安心できます。
マザーボード
PCIeスロットが多く、 CrossFireXという複数GPUの運用に対応したものが必須でした。メモリは最低4本で、電源が安定して供給される旨の記載についてカタログなど確認して安心できるものを選びました。
(2022/5/18追記)
搭載するGPUがnVIDIAになりましたのでCrossFireXではなくSLIになりましたが、これも同じGPUでないと使えませんので、今のところSLIで動作していません。サブマシンの方はGeForceGTX1080TiのSLIで動作しており、弊社の環境下でのSLIの有用性ついて検証しています。
メモリ
メモリも32GBあれば問題無いシーンが多いです。現状で比較的大きい規模の流体シミュレーションをしない限りはメモリ不足になることは少ないです。マザーボード側で対応するものを選定するのが間違いないと思います。RyzenはCore iシリーズに比べ相性にシビアという話もありますので、事前に調査は必要です。4枚刺しで運用する場合はメーカーを統一するのも安心かと思います。
GPU
基本は1枚で十分です。3080があれば問題ありませんし、複雑なシーンのレンダリングを行わないのであれば、3070Tiでも大丈夫だと思います。透過や反射を多く含み、テスクチャの解像度が高いものを使用する場合はなるべく上位のGPUを選択すると良いと思います。現状ではOpenGLに依存するシステムで無い限りはQuadroでなくても良いと思います。(CADの場合はQuadroが良い)
GPUボードの構成(電源の口数、排気方向、ボードの長さ・厚み)は必ず確認しておく方が良いです。
SSD
システムファイルはSSDに入れてください。速度は1,500MB/s程度て出ていれば問題ないと思います。速度は価格com等の情報で確認しても良いと思います。
電源
システムの想定消費電力(CPUやメモリから換算可能)の2倍程度の定格容量のあるものを選ぶと良いと思います。また、80plus Gold以上のものを搭載しておくと安心できます(電流安定の為)。最近ではフルモジュラー式が増えていますので口数とA数も確認しておくほうが安心できます。
ケース
レンダリング時に熱が発生しますので、排気の為にエアフローの良いものを選定しています。内部に熱が籠もると様々なパーツが熱に依るダメージを受けますので注意が必要です。
GPUボードの大きさにより内部の必要サイズも変わりますし、大きめの方が放熱条件では有利になります。また搭載できるファンのサイズ・数・位置等も考慮しておくと尚良いです。
さいごに
総じて、3DCG制作においては、能力の高いパーツが必要とされてしまう傾向にあります。その結果排熱の問題であったり、消費電力の問題であったりと事務用のPCでは考える必要がない点を考慮に入れる必要もあり、思うような構成ができないこともあります。(それ故、自社組み立てになりましたが)
しかしながら、分散処理が可能な仕組み(レンダリングファーム等)が多くありますので、今後はそれらを活用することで個々のPCについてはそれほど高スペックなものが必要ではなくなると考えています。マウスコンピュータやパソコン工房のようなBTOをうまく活用していくことでマシンにかかるコストも抑えることが出来るかもしれません。