CG制作でクオリティを決める要因

目次

CG制作のクオリティとは

クオリティは「品質(Quality)」の言葉通り、映像の仕上がりの品質のことになります。
3DCG制作におけるクオリティは様々な要素により判断されますので、CG制作を依頼する際に、この部分については説明が難しい部分でもあります。
リアルな3DCGであれば、再現性(リアリティ)により判断すること出来ます。映画などのVFXのクオリティについて言うと実写と見分けがつかないという視点で判断できます。
機械構造解説などの場合は、再現性よりも視認性(見易さ、わかりやすさ)が求められる事がありますが、情報を分解してわかりやすく再構築する技術とそのポイントを視覚的に表現する手法が重要になります。

クオリティの要因

3DCGにおけるクオリティの要因には下記のものがあります。

クオリティ要因

・解像度(解像度、画質)
・動き(アニメーション)
・ディテール(細部の造形)
・マテリアル(テクスチャ、バンプ、法線、反射、透過など)
・エフェクト(視覚的効果、演出補助)

それぞれ、或いはこれらの組み合わせにより仕上がりの映像の品質が向上していきます。
また、これらの要因について必要最低限まで下げることができれば、工期とコストを抑えることも可能になります。

3DCG制作の要因説明

解像度(解像度、画質)

解像度・画質は仕上がりの映像の綺麗さに関わります。
解像度= オブジェクトのディテールの再現性に影響
画質(光と影) = 映像中の光と影に影響(ノイズ、影の有無、光・影のチラツキ 等)

参考:ちょっと極端な作例

解像度高いイメージ解像度 高い
解像度低いイメージ解像度 低い

制作時の解像度が低い場合は、細部が潰れてしまったような見え方になってしまいますが、解像度を上げすぎると制作時間が長くなってしまいコストも高くなってしまいます。

『 解像度 』
一般的には映像における画面中の点の数を指します(フルハイビジョン=1920×1080)が、画面の鮮明さを表現する際に使用されることもあります。この場合の例として「解像度が高い」という言い方であれば「もとの被写体の細部まではっきり見える」という意味になります。

参考:ちょっと極端な作例

octane
画質(光と影)
光影の演算処理を複数行ったもの(光学的に正確)
ソフトシャドウ
画質(光と影)
簡易の影

光と影をどのように演算するかで陰影の画質が変わってきます。この演算処理を繰り返し行うことでリアルな陰影になりますが、繰り返す回数に比例して制作時間が長くなります。簡易計算の場合は光源から計算した影を投影するので短時間で演算処理が終わりますが、仕上がりの画像は旧来のCG特有の映像になります。

動き(アニメーション)

動かす対象により制御の方法も変わってきますが、大きく「キャラクター」と「それ以外」に分けて整理してみたいと思います。

キャラクターの場合

まずキャラクター、対象を人間だと想定した場合、
・制御するレベル(腕、指、指先まで)
・動かす方法(アニメーターによるキーフレームアニメ、モーションキャプチャデータからインポート)
の2つの観点があります。
当然ながら、制御(動かす)すべき箇所が多ければ多いほど、時間もかかってしまいます。これをアニメーターがキーフレームを打っていく作業は完全な職人作業になりますので、時間と手間をかけてじっくり行うことになります(ディズニーのアニメーションがこの頂点と言えるのではないかと思います)
モーションキャプチャーのデータを使用する場合は、仕上がりが非常にリアルなものになります。しかしながらモーションキャプチャーの作業が必要になり、安価に行うという観点からはおすすめできませんが、PC会議等でフェイスリグと呼ばれる技術が登場してきていることからも近い将来、比較的簡単にモーションキャプチャーが行えるようになる可能性も十分にあります。

キャラクター以外の場合

具体的な例だと、機械(自動車、モーター、電車、飛行機等)、自然物(水、煙など)になります。これらの動きについてもキャラクター同様に
・制御するレベル(可動数、可動域、衝突判定、パーツ連動、など)
・動かす方法(アニメーターによるキーフレームアニメ、物理演算によるシミュレーション)
にという2つの観点があります。
自然な動きを再現するには、物理演算によるシミュレーションが必要になります。この物理演算のシミュレーションの精度により演算時間が大きく変わってきます。その端的な例が水・煙といった流体になります。

参考:ちょっと極端な作例

流体計算高演算精度:高い
流体計算高演算精度:低い

ディテール(細部の造形)

オブジェクトの細部をポリゴンで作成する際に、どこまで作成を行うのかによってクオリティは変わります。
単なる立方体形状であればそこまで考える必要もないのですが、例えば自動車を例に上げるとすると細部のネジまでをポリゴンレベルで再現するのかどうかということを判断するようになります。
多くの場合、細かいネジやパーツの継ぎ目の段差等はポリゴンではなくマテリアル側で処理していきます。しかしながらアップになる部分や、動作アクションで分割や変形がある場合はポリゴンでの作成が必要となってきます。
遠景で使用されるオブジェクトであれば細かい作り込みは必要ありませんが、細部まで見えるものやメインとなるものはある程度の作り込みが必要になります。

参考:ちょっと極端な作例

作り込み
右の細部まで作り込んだモデルも遠景であれば、細部までは確認できなくなる

マテリアル(テクスチャ、バンプ、法線、反射、透過など)

マテリアルは大雑把に言うと、表面の色柄のことになります。
このマテリアルでツヤ、テカリ等の質感を表現します。また、先のディテールで作り込めない表面の細かい凹凸やヒビ、シワといったものはこのマテリアルで処理していきます。
ポリゴンの作り込みが造形に大きく影響し、マテリアルの作り込みは質感に大きく影響します。


テクスチャ : 表面に描画される色柄(撮影した写真、単色、イラスト)
バンプ・法線: 表面の凹凸(細かいシワ、凹み)を生み出します
反射・透過 : 物質の光に対する見え方の再現します。テカリや、透明度はレンダリング時間にも大きく影響します

また、使用するレンダラーによっても仕上がりのテイストが変わることもありますので、各レンダラーの特性を考慮して仕上げを行います。

エフェクト(視覚的効果、演出補助)

通常見えない部分を可視化して表現します。移動や流れなどの導線、気流や水流の移動方向を視覚的に補助する目的で使用されます。
また、注意喚起や、視線誘導の等の目的で使用されることもあります。

参考:作例

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