皆様御存知の「ChatGPT」は自然言語処理モデルと呼ばれる、テキストデータを介した対話型のAIです。
膨大なデータから学習されたAIは自然な言葉で様々な事柄について回答してくれます。
今回はそのChatGPTから得た3DCGに関する回答が、実際私が感じているものとどのくらい違うのか、あるいはどれくらい正確な回答が得られるのか確認してみたいと思います。
テーマは「3DCG制作のコスト要因について」
検証を行うテーマは「3DCG制作のコスト要因について」です。
ChatGPTにはこのように問いかけます。
「3DCG制作のコスト要因について教えてください」
そして得られた回答がこちらです。
3DCG制作のコストはさまざまな要因に影響されます。以下は一般的なコスト要因です。
モデリングとテクスチャリング: 3Dモデルの作成とテクスチャリングは、プロジェクトの要求に応じて異なるコストがかかります。複雑なモデルや高品質のテクスチャを作成するには時間がかかり、それに応じてコストも増加します。
アニメーション: キャラクターやオブジェクトのアニメーション制作もコストがかかります。アニメーションの長さや複雑さによってコストが変動します。
ライティングとレンダリング: 3Dモデルを照明設定し、レンダリングするプロセスもコストがかかります。高品質のレンダリングや特殊効果の追加は追加のコストを発生させることがあります。
ボイスオーバーと音楽: ゲームやアニメーションに音声を追加する場合、ボイスオーバーアクターと音楽の制作コストがかかります。
プロジェクトの複雑さ: プロジェクトの複雑さは、制作コストに大きな影響を与えます。大規模なオープンワールドゲームや映画の場面に比べて、単純な3Dアニメーションは一般的にコストが低くなります。
制作期間: 制作にかかる期間もコストに影響します。急いで制作する場合、追加のリソースや残業が必要になり、コストが増加する可能性があります。
技術要求: 新しいテクノロジーや特殊効果を使用する場合、その実装とテストに追加のコストがかかります。
スタッフのスキルと経験: スタッフのスキルと経験はコストに影響します。経験豊富なアーティストやアニメーターは通常、高い時給やプロジェクト料金を要求します。
ツールとソフトウェア: 3DCG制作には専用のソフトウェアとツールが必要です。これらのソフトウェアのライセンスコストやハードウェアのアップグレードも制作コストに影響します。
ライセンスと権利: 特定のキャラクターやブランドを使用する場合、ライセンス料が発生することがあります。
これらの要因は、プロジェクトの規模、複雑さ、品質によって異なります。プロジェクトの予算を適切に計画し、必要なリソースを確保するために、これらの要因を検討することが重要です。
この回答について、順に見ていきましょう。
ChatGPTの回答と解説
一般論では、間違っていないと思います。
実務では、モデリングやテクスチャ生成には、参考資料の情報収集、目的のオブジェクトの機構や動作領域確認、アニメーションを実装するにおいての可動部のリグなどの実装が含まれていきますので、何を、どの様に動かすのかという定義的な部分もこのステップで行います。
また、テクスチャに関しては、一般的に高解像度のデータを用いることで見た目のクオリティを上げることになりますが、シーン全体のテクスチャの容量や等を考えないと後のレンダリング工程で大幅に時間を浪費することにもなりますので、どの用途に使用するのか、どのクオリティが必要になってくるのかについて明確に把握しておくことも必要になります。
アニメーションは、弊社ではキーフレーム単位で位置角度を調整していくパターンと、パラメータを設定して物理演算でシミュレーションさせる方法があります。また、先に制作しているオブジェクトの稼働状態をリアルに再現するために、上記2つの方法を併用したりします。動きを細かく制御すればする程、工数が増えていきますのでコストも嵩みます。
その昔は、1秒XX万円というざっくりした計算もありましたが、使用する機材やソフトウェアにより費用は大きく変わってきますので、これらの情報を鑑みてコスト算出を行っていきます。
まずは、使用するレンダリングエンジンに何を使用するのかにより、クオリティもコストも変わります。
これに関してはサンプルや、既にある作品などを参考にすることで大まかなコストが算出可能になります。レンダリング工程で重要なものにライティングがあります。GPUを使用したレンダラーの多くは光の反射や屈折を正確に表現しますので、光源とその光がどのようにオブジェクトに当たるのか、どのくらい反射するのか、透過するのか、について演算し、画像を生成していきます。すべての設定が終わってから「レンダリング」が行われますが、これが最も時間のかかる工程になります。※UE4などのゲームエンジンを使用する場合はこの限りではない
弊社のCG制作の範疇と少し外れますので、これについては省略させて頂きます。
かなり大雑把な説明ですが間違いではありません。
大規模な映画になると、予算も数億円規模になりますので、1カットの予算もそれなりに確保できる場合があるように思います。単純な3Dアニメーションというのがどんなものを指しているのか不明ですが、単純に映画ではないからコストが低くなるということはありません。沙紀までに出ている、どんなものを、どうやって動かして、どのくらいの期間で作るのかにより変わります。
「時間をたっぷりかけて良いから安くして」と言われた場合、それが可能かどうかはクリエイターさんとの契約により変わります。エンジニアのように人工数で管理されている場合、時間をかければかける程、コストがかかります。逆に短期間を強いられた場合は、残業や深夜作業、休日作業を行うことになりますのでコスト的には割増になります。
見積もりには必ず、工期が記載されていますので、その工期がもっとも効率的な日数となる場合が多いように思います。
物理演算を用いた場合、単純な立方体のようなものを動かすものと、液体や気体のような流体を用いた場合では、工程やソフトウェアも異なりますし、設定すべき項目も異なってきます。当然それらを使用できる技術者が必要になりますので、その特殊技能についてのコストは別途必要になります。
前述の技術要件に類似します。
ソフトウェアのライセンス費用は、買い切り数万円のものから年間数十万円のものまであります。
それらの費用は当然、制作するためにソフトウェアを専有していた時間から算出されます。
制作物には著作権がありますので、これを含めて購入する場合は、その費用が追加になります。
以上のように、ChatGPTの回答を見た見ましたが、一般論としては間違いではありませんが、内容が納得できる程、詳細な解説までは行えていないように思います。
しかしながら、この回答を元に更に細かい点を質問していくと、次第に詳細な回答が返ってくるようになります。具体的な金額などの数値的な情報はあまり参考にならない印象がありますが、一般論という点で使用するなら現状大きく問題になるようなものも少ないような印象です。