防災コンテンツの目的
防災コンテンツの目的は「命を守ること」です。そしてこの目的の為に防災コンテンツの中で学ぶものとは「災害時の対応」ということになります。
どこが危険であるかという災害時の危険区域の情報を得て、そして生き抜くための命を守る行動とは何か、を知るというのが重要な内容になります。
この学習コンテンツの入口として、「命を守る」という明確な意志がない状態でコンテンツを視聴しても内容はなかなか入ってきません。そこで災害が自分にも起きる、いざ起きた時にどう行動して良いのかわからなくなった等の体験を事前に行うことができれば「命を守る」という気持ちは高まり、学習コンテンツの効果は大きくなります。
この「体験」の為に活用が期待されるのがVRコンテンツになります。現実に体験することは危険を伴いますので仮想空間上で行えることで安全に体験ができ、かつ同じ状況を何度でも、また多くの人に体験してもらうことが可能になります。
体験コンテンツの種類
考えられる体験型コンテンツとして代表的なものは下記に挙げられます。
- 火災時の煙・炎の広がり
- 地震発生時の家具倒壊
- 津波発生時の津波の速さ
- 大雨による視界不良
など
自然災害に関しては体験してみないとその危険さが分からないことが多いように思いますので、安全に体験できるコンテンツは防災以外の分野でも今後活用が期待されています。
制作者目線で見た体験コンテンツ
VRでの体験コンテンツにはいくつかのタイプがあります。
360°映像(実写)・360°映像(3DCG)
360°映像とは、パノラマ状のスクリーンに投影される映像を中心から視聴するイメージです。全方向の映像に包まれますので臨場感のある体験が可能です。このタイプは奥行きに関する情報が含まれませんので、迫ってくるようなものがあるもの(遠い近いを強く意識させるもの)が無い方が良いと思います。
特に、炎や落下物を体験してもらう場合は3DCGで制作を行うことで撮影時のリスクも回避できます。
180 3DVR(3DCG)
180 3DVRは前方向のみの映像ですが、左右それぞれの目に入ってくる映像が違いますので、実際の奥行き感と同じものが視聴できます。実写も対応可能です。デメリットは360°ではないので没入感は360°に比べ少なくなります。また正面以外は立体感も乏しくなりますので正面を向いたままで体験するようなコンテンツに向いています。
360 3DVR(3DCG)
360 3DVR 360°であり、奥行き感のある映像で構成されます。このコンテンツはゲームエンジン等を使い制作されます。特徴としてインタラクティブ性が高いことが挙げられます。ユーザーの動きに応じて出来事が起きたり、ストーリーを変えていくことができます。避難経路により無事脱出できるのか、そうでないか等ゲームのシステムを使うことでシミュレーション要素を含んだコンテンツの制作が可能になります。
デメリットはコストが高いことです。
火災時の発煙体験コンテンツの制作
では、実際に体験コンテンツを作ってみます。今回は火災発生時の発煙の様子を360°映像で制作していきます。実際に炎や煙を出すのは危険ですので3DCGで制作します。
完成したVR映像です。