動画におけるインストラクショナルデザイン(1)

インストラクショナルデザインとは

インストラクショナルデザインとは、平たい言葉で言うとするなら、学習用の教材を、より効果的に理解するための組み立て方。という言い方ができるかと思います。(IDと略されることがあります)

これまでの教科書と違い、教えるべきことを整理して書くだけではなく、学習する側の理解のステップを考慮し、必要に応じて内容をいくつかに分けたり、進行の度合いに応じて繰り返したり、そして、自分自身でどのくらい理解できているかが分かるように教材を組み立てていきます。単に教材の内容の構成を考えるのではなく、学習すべき内容がきちんと理解できるように進行の順番や流れ、テストや振り返りの見直し等も含めて学習コンテンツの全体を作り上げていく考え方になります。

この考え方の最大の目的は、学習効果の最大化だと言えます。いかに知識として記憶に留め、それを活用できたかが自分自身で振り返ることができるようにするという「教える」にとどまらない考え方になります。
※弊社ではe-ラーニングにおける考え方をベースにしたインストラクショナルデザインによる映像制作を行っております。

インストラクショナルデザインの動画への活用

さて、そのインストラクショナルデザインの考え方を動画制作に活かすとは、どういうことなのでしょうか?
これまでも、e-ラーニング等の学習コンテンツでは教材の一部に動画が使用されてきました。この場合、学習コンテンツ全体をインストラクショナルデザインの考え方で構築されているので、動画の部分には明確に役割が存在しました。動画の制作においては、その役割である「伝えたいことを映像で表現する」という目的が達成されていればよかったので、動画の制作にインストラクショナルデザインの技法を求められることは少なかったように思います。
しかしながら、近年では動画の活用がどんどんと上がってきています。これは動画を静止画と同じプラットフォームで扱えるようになってきたことが背景にあります。例えば、twitterやInstagramでも動画を静止画と同じように投稿することが出来、視聴する側も静止画・動画の区別なく目にしています。
そして、扱い易くなった動画の「伝わり易さ」「客観性」の特性から「出来事の共有」という面で多くのユーザーにより利用されていくようになったことは、改めて説明の必要もないくらいです。
動画による出来事の共有は、撮影したものをそのまま使用します。編集は行われないことが多く、動画の尺(時間)も数秒~数十秒までの比較的短時間のものが多く見られます。これは「出来事」という単発のイベントを扱うという面においては十分です。しかしながら、複雑な流れや、変化を伴うものの場合、やはり撮って出しと言われる撮影したものそのままでは伝わりにくい動画になってしまうため、動画に手を加えていく必要が出てきます。
この際に、より分かりやすくする為にインストラクショナルデザインの考え方が必要になってくるのです。
インストラクショナルデザインは学習全体の構成を考えるものなのですが、この場合、動画全体をひとつの教材と考え、視聴開始から終了までを一つの教材と考えてストーリーを構成していくという捉え方になります。
この考え方で構成された動画は、従来の映像作品とは違い、インパクトや面白みは少ないものになってしまうという傾向もありますが、この動画の目的や使用場面を考えると、そういったテイストの動画の方がふさわしいことは間違いありません。

IDが必要とされる動画の分野

では、すべての動画にインストラクショナルデザインが必要なのかと言われると、そうとは言い切れません。
目的により当然求めるものが違いますので、そのケースに応じて使い分けを行っていく必要があります。

分野求められるものIDの必要性
CMインパクト、商品の認知向上
ドキュメンタリー問題提起、製作者の意図、感情共有
バラエティ楽しさ、感情共有
ニュース事実の共有
PV(商品紹介、会社紹介)商品、会社への理解向上

これまでTV等でよく見られた動画である、バラエティ、ドキュメンタリー、CM、ニュースについては、IDの考え方をそれほど必要としませんでした。それは、インストラクショナルデザインにおいて重要であるインタラクティブ性をもたせることが困難であったことや、常に新しい映像表現を追求するあまり、視聴者へのインパクトを重視する傾向が制作者側にあったことも要因と思われます。
もちろん、CMや映画においては、映像表現、ストーリー等で視聴者の期待を超えるものが求められることは今も変わりありませんし、これからも新しいものが次々と生み出されていくと思います。

インストラクショナルデザインが必要とされるのは、理解を向上させるという目的があるのもの、つまり商品紹介や会社紹介といったストーリーというよりも、既に定まった内容を正しく伝えるという趣旨のコンテンツが中心になります。

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