中年クリエイターに何が起きているのか
私は3DCGクリエイターとして活動しておりますが、現在52歳、世間一般では「おじさん」という年代です。(もう少しでおじいさんかもしれません)
一般企業でいうと、中間管理職あるいはそれ以上のポジションについている方も多いでしょう。この年代で最前線とよばれる場所で活躍している方は少ないと思われると思います。そこで年代の現実を書いてみたいと思います。今後この世代になるクリエイターと呼ばれる方の参考になればと思います。
中年になるとできなくなること
まず、できなくなる事があります。※個人差があります
徹夜作業は難しい
がんばれば徹夜は出来ます、しかしながら徹夜する事で翌日の作業効率が著しく低下してしまうので、結果として効率は上がりません。締め切りギリギリの作業でもミスがでる可能性がありますので、これは難しいです。
集中できる時間が短くなる
集中力自体は変わってないと思いますが、その持続時間が短くなります。
しかしながら自分の集中のスイッチのコツを掴んでいれば、アイドリング時間を短くして集中できるので、実作業で問題になることは少ないかと思います。
記憶力の低下
記憶力は低下します。
けれど覚えられなくなる訳ではありません。繰り返す回数を増やして、定期的に行うことで記憶は出来ます。スケジュール等は覚えていなくてもスマホやPCのツールを使うことでカバーできます。人の顔覚えにくくなりましたがSNS等で顔写真を出されている方も多いので補助になると思います。
好奇心の低下
新しいことを始めようという気力は下がります。
けれどこれも、本屋に行く、散歩する、ジョギングする、等の身体の動きを伴う行動を意識して(定期的に)行っていくことで、刺激も入ってきますのである程度防ぐことが出来ます。
視力の低下
細かい文字が見づらくなります。
メガネで補助できますので問題ないレベルです。PCやスマホの文字を大きくすることでも対応可能と思います。
聴力の低下
高音が聞き取り辛くなります。
編集時には良いイヤホンを使用したり、ノイズの少ない場所で作業することでカバーしています。絶対的に高音が聞こえない場合は、モニター等で補助しないといけないかもしれませんが、自分が「高音が聞き取りづらい」ということが分かっていればチェックの部分を他の方にお願いしたり出来ますので問題ないように感じています。
ここまで出来なくなる事を書き出しましたが、ここからは逆に出来るようになることがあります。
できるようになったこと
冷静さ
感情的になることがない訳ではありませんが、怒りも長続きはしません。冷静になれるようになります。
冷静でいることで、一時の感情で物事を決めてしまうこともなくなったように思います。
判断力(経験にともなう)
年齢を重ねて、若いときに比べ、対人的な部分での経験は豊富になります。仕事は技術的な面も大切ですが仕事を行っている人間的な部分での思考・判断は経験に裏付けされることが多いように思いますので、この部分の判断力は向上していると思います。
必要以上に競わない
若いうちは体力も欲望もありますので、血気盛んです。中年を超えると体力的な面で瞬発力がなくなります。自分自身もそれを自覚できはじめると不要な競い合いを好まなくなります。それは焦りや怒りを誘発しないことにも繋がりますので、メンタル的にも良い結果をもたらすと思っています。
そして、いま思うこと
今の仕事がいつまで出来るのか、という永遠の問いがあるとしたら、私の答えは
「自分がもういいやと思う時まで」
だと思います。もちろん組織の中にいる人は、組織の中の役割がありますのでそう言ってはいられませんが、フリーランスの方や私のようにひとり社長のクリエイターはこの考え方で良いと思っています。
もちろん、今の業務に興味が薄れ、他の業務に興味がでてきた場合は、新しいステップに進むことは良いことだと思います。その場合も新しいことを覚える能力は若い人に負けるかもしれませんが、それ以外の経験であったり、人脈であったり、若い方にはない、その人ならではの魅力というものが明確になっていると思います。
どうしても失う能力の方にばかり目がいきますが、得る能力もあります。その年代になってみないとわからないものはあります。そう悲観することばかりではないかな、と思います。
そして、やはり一番大切なのは、楽しめているか?ということだと思います。
いつであっても、どこであっても、本人が楽しめて行えることであれば、それはきっと幸いになると思います。