副業とは
最近、「副業」という言葉をよく聞くようになりました。
ご存知のように「副業」とは、正規の職業の他で何かの収入源を持つことを意味しますが、それ以外の効果も少なからずあると思います。
これまでのあった副業という働き方
戦後の高度経済成長期、地方の会社員の中には「兼業農家」と言われる方がいました。サラリーマンとして給料を勤務先からもらいつつ、自分の畑で農業を営んでおられた方々です。私の父もこれの該当します。サラリーマンとして懸命に働き、それ以外の時間を農業に費やす訳ですので、休みなんてありませんでした。(事実、休日に家でくつろいでいる姿をみたことはありません)
当時の農業でどのくらいの収入があったのかは不明ですが、金銭的な面だけでなくとも家計の助けになっていたことは間違いないと思います。また、体を使うので健康面でもプラスの部分があったかと思います。このような方々は定年後に農業をされていますし、そのつもりで働いておられたので定年後の不安というものは少なかったのではないかと推測されます。
副業の現実
さて、現在の働く世代はどうでしょうか?兼業農家はもちろんのこと、副業として何かの収入減をお持ちの方は意外とまだ少ないように思います。
その原因は「副業禁止」の慣例にあるのではないかと感じています。
これまでの日本企業では、セキュリティの観点から副業を禁止しているところが多くありましたし、それが当然という認識でした。例外として実家の家業(農業含む)や投資関連(株、土地)は暗黙の了解的に認められていたように思います。
現在、副業を認めるような方向に社会全体が動いていますが、これは一カ所からの給料だけでは生活が成り立たなくなってきている方が増えてきているということも背景にあるのではないかと考えられます。また、残業が悪のように言われる流れからすると残業代も以前のように見込めずますます収入としては減ることが予想されます。もちろん私は残業自体が「悪」とは思いません。下記を満たす場合は残業を行っても問題ないと考えています。
・残業の必要性がある(残ってやらないといけない必要性を経営側が認めている)
・残業をする意思のある人
・残業の作業に見合う報酬の確約
・労働基準を満たす(法規的に問題ない)
無理な残業や、サービス残業等は論外です。
しかしながら、会社としては残業をしてもらうとコストも発生しますので、残業させる訳にもいかず、結果として副業で経済的な安定を図ってもらいたいという気持ちもあるのかもしれません。
副業のメリット
働く側からすると、経済的な面以外でも良い事があると思います。
・人脈の広がり、視野の広がり
・新しいスキルの取得
これらは、長い目でみると本業にも活かせることが出てくると思います。
では、副業は積極的にすすめていくべきかと聞かれると、私はそうは思いません。なぜなら「副業」は本業に良い影響も悪い影響も与えます。本業が本業であるということはしっかり意識しておかないといけません。副業の為に本業がおろそかになるのは本末転倒です。
副業の条件
そこで、私は副業を行うには前提条件をつけるべきだと思っています。
・本業に対する思いが強い事(会社ならば愛社心がある)
・本業の守秘義務は守る(社会人として当然のことですが)
・本業(副業)従事中は、副業(本業)を行わない
・社会人としてのモラルを守ることができる
・一定水準のセキュリティの知識を有している
これらの事が自分自身できちんと遂行できる人だけに留めておかないと、会社としてはリスクが高くなることが想像できます。
例えば、入社X年以上で、社内のセキュリティ資格を有する人だけに「副業」のパスを渡すような仕組みが必要だと思います。
日本企業での副業については、まだまだこれからのテーマだと思います。
弊社では基本が「副業可」としています。
しかしながら、入社後すぐにすべての副業を認めるというわけでもありません。
人を見て、その人の成長につながる経験となるような副業であれば、会社にとっても良い取り組みということになるんだと思います。