流体シミュレーションCG制作(3DCG制作)

流体CGとは、水・煙・炎・粉体など形が定まらず動き続ける物質の挙動を、3DCGで映像化する技術です。
流体CGは専門性が高く、制作難易度の高い領域です。フィジカルアイはこの領域に継続的に取り組み、工業・医療・表現の3分野で流体シミュレーションCGの制作実績を積んできました。

フィジカルアイは流体力学の分析・解析の専門機関ではありませんが、流体の挙動を理解した上で映像を設計できる——解析の専門家と映像の専門家の間を埋める制作会社として、「流体で何かを伝えたい」という意図を映像に変換してきました。

流体シミュレーションCGとは

流体シミュレーションCGは、液体・気体・粉体などの挙動を物理演算によって再現し、映像として出力する3DCG技術です。通常のモデリングやキーフレームアニメーションでは表現が難しい「形が変化し続けるもの」を、自然な動きで描写できる点が特徴です。
流体の動きを再現するには、粒子単位での物理計算が必要になります。重力・粘度・表面張力・温度・乱流といった複数のパラメータが相互に影響し合いながら挙動が決まるため、演算負荷が高く、制作には専門的な知識と経験が求められます。

近年はGPUの高性能化によりワークステーション環境での流体シミュレーションが現実的になり、映像制作への活用が広がっています。液体・気体それぞれに固有の物理パラメータを設定することで、水のように透明で表面張力のある動き、煙のように軽く拡散する動き、粉体のように粒子が堆積する動きなど、物質ごとに異なる特性を映像で表現することが可能です。
また、粒子単位で動きが計算されているため、スローモーション処理やカメラアングルの自由な変更が可能です。実写では不可能な視点から、再現が困難な現象を映像化できることも、流体シミュレーションCGが映像制作で活用される理由のひとつです。

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フィジカルアイが対応する3つの流体CG制作領域

工業・産業機械の流体可視化

タービン内部の気体の流れ、エンジンの燃焼と排気、冷却水の循環、ポンプ内部の液体挙動——産業機械の内部で起きている流体挙動を、観る人が直感的に理解できる映像に変換します。

工業製品の流体可視化では、物理的に正確な再現と、映像として伝わりやすい表現のバランスが重要です。厳密なCFD解析とは異なり、フィジカルアイは「観る人が理解できる映像」を目的として流体挙動を設計します。気体の流れ方向・速度・圧力変化といった情報を、色・透明度・粒子の密度などの視覚的な要素に変換することで、専門知識のない観客にも伝わる映像を制作します。

設計図や断面図では伝わらない「動き」を流体シミュレーションCGで可視化することで、営業資料・展示映像・技術説明コンテンツとして機能させることができます。大手重工業グループのタービンビジュアライゼーション、航空機エンジンの動作イメージCGなど、産業機械と流体表現を組み合わせた制作実績があります。

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医療・研究分野の流体映像化

血液の流れ、薬液の拡散、体内での気体挙動、カテーテル内の液体の動き——医療現場や研究機関が「伝えたい挙動」を映像として成立させることを目的とした制作です。

医療分野における流体CGの用途は大きく2つあります。ひとつは医療従事者や研究者向けの技術説明・教育コンテンツ。もうひとつは患者や一般向けのわかりやすい説明映像です。どちらも「正確さ」と「わかりやすさ」のバランスが求められますが、目的によってその比重は異なります。

フィジカルアイは詳細な流体力学シミュレーションの専門機関ではありませんが、流体の挙動を理解した上で映像設計ができる立場から、医療分野における流体CGの制作に対応しています。学術的なCFD解析とは異なり、視覚的な理解を促すことを優先した映像設計を行います。国内研究機関との共同制作実績があります。

コンセプト表現・メタファーとしての流体CG

流体シミュレーションは「説明」だけでなく「表現」の手段にもなります。流体の持つ視覚的な特性——透明感、流動性、形が変化し続ける動き——は、言葉や静止画では届きにくいコンセプトを映像で伝える手段として有効です。

人の出会いと化学反応を2つの流体の衝突と混合で表現した大手メーカーの人材採用ページ背景映像、人々の感情と記憶の流れを粒子の動きで表現した震災追悼施設のイメージ映像など、抽象的なコンセプトを流体の動きで可視化した実績があります。

流体をメタファーとして使う映像では、物理的な正確さより「意図が伝わるかどうか」が優先されます。どんな動き・質感・色が、伝えたいコンセプトに最も近いかを企画段階から一緒に考え、映像として成立させます。流体CGをビジュアルコミュニケーションの言語として活用したい企業・機関からのご相談にも対応します。

フィジカルアイの流体CG制作におけるアプローチ

「伝わる映像」を優先する設計思想

フィジカルアイの流体CG制作は、「正確に再現する」ことより「意図通りに伝わる形にする」ことを優先します。学術的なシミュレーション精度より映像として機能することを重視する——これがフィジカルアイの設計思想です。

たとえば、冷却水の流れを可視化する映像であれば、数十万粒子による精密な計算より、流れの方向・速度・温度変化が観る人に直感的に伝わる表現を選びます。乱流などの複雑な挙動を適切に省略しながら大局的な流れと質感を丁寧に調整することで、表現力・処理速度・コストのバランスを最適化しています。

できることとできないことを明確に区分する

CFD解析や詳細な流体力学シミュレーションは専門機関の領域です。フィジカルアイは解析結果を映像化する、あるいは映像として成立する範囲で流体挙動を設計する制作会社です。その境界線を明確にした上で、できる範囲で最大の映像表現を追求します。

流体CGの制作を検討している段階で、「どこまでが映像で表現できるか」「CFD解析の結果をどう映像に落とし込むか」といった相談にも対応します。用途が曖昧な段階でも、流体で何を伝えるべきかを一緒に考えるところから始められます。

工業・医療分野への理解を制作に活かす

フィジカルアイは産業機械・医療機器の3DCG映像制作を得意分野としており、流体CGはその分野での表現力を向上できる力になります。「伝わりやすさ」という面においてこれは車の両輪に値するべきもので、機械の構造や医療機器の仕組みを理解した上で流体挙動を設計できるため、「この製品の内部でこういう流れが起きている」という文脈を踏まえた映像制作が可能です。

単に流体の動きを作るだけでなく、製品・機器・現象の背景を理解した上で映像を設計する——この点がフィジカルアイの流体CG制作の特徴のひとつです。

流体シミュレーションCGで表現できる物質・現象

流体シミュレーションCGで表現できる主な物質と現象を整理します。

液体系:水・油・薬液・血液・飲料・化粧品原料など、粘度や表面張力の異なる液体の流れ・飛沫・混合・浸透を表現できます。

気体系:煙・蒸気・排気ガス・炎・空気の流れなど、表面張力を持たず拡散する気体の挙動を表現できます。エンジン排気、タービン内部気流、空調の気流可視化などに活用されます。

粉体系:粉末・粒子・砂など、液体に近い集団的な挙動を示す粉体の動きを表現できます。工業製品の粉体混合シミュレーション、食品・薬品の製造プロセス可視化などに活用されます。

複合表現:液体と気体が共存する場面(水面・泡・飛沫)、液体と固体が相互作用する場面(製品への液体付着・流入)なども表現できます。

流体CGに関するよくある質問

流体シミュレーションCGとCFD解析は何が違いますか?

CFD(数値流体力学)解析は、流体の挙動を数値的に計算し工学的・科学的な判断に使うものです。解析結果は数値データとして出力され、専門家が解釈します。フィジカルアイが行う流体シミュレーションCGは、流体の動きを視覚的に表現することを目的としており、学術的な精度より映像としての伝わりやすさを重視します。CFD解析の結果を映像化したい場合もご相談ください。

流体CGの制作費用はどのくらいですか?

内容・複雑さ・尺・用途によって大きく異なります。シンプルな流体カット単体から、工業製品との組み合わせによる複数カット構成まで幅広く対応しています。まずはご要件をお聞かせいただいた上でお見積りします。

流体CGの制作期間はどのくらいですか?

内容・複雑さ・尺によって異なりますが、シンプルな流体カット単体であれば2〜4週間程度が目安です。工業製品との組み合わせや複数カットの場合は別途お見積りします。

実写映像と流体CGを組み合わせることはできますか?

はい。実写映像へのCG合成(VFX)にも対応しています。製品の実写映像に流体CGを組み合わせることで、実写の質感とCGの自由度を両立した映像制作が可能です。

用途がまだ固まっていない段階でも相談できますか?

はい。「こういうものを映像にできるか」という段階からご相談いただけます。流体で何を伝えるべきかを一緒に整理するところから対応します。

流体を使用した作例

物理演算による流体はその動きのリアルさ故にシミュレーションでの活用にとどまらず、モーションデザイン・モーショングラフィックス分野での活用も期待されています。細かい粒子や線の動きは、手作業は難しい物量を動かすことが出来ます。またリアルな動きの中にアンリアルな動きを取り入れることで記憶に残る映像を制作することも可能になります。もちろんこれもCG制作ならではの表現になります。

火山噴火シーン

火口から噴出する溶岩と噴煙の動きを流体シミュレーションで再現した作例です。火山の噴火現場は危険を伴うため、実写撮影で噴火の瞬間を映像として捉えることは現実的ではありません。CGであれば、噴火の規模・タイミング・溶岩の流れ方を演出意図通りに設計できます。

溶岩は高粘度の液体として、噴煙は気体として、それぞれ異なる物理パラメータで設定しています。液体と気体が同時に存在する複合的な流体表現は、パラメータの相互作用を理解した上で設計する必要があります。噴火の勢い・溶岩の広がり・煙の上昇という3つの動きが同時に成立するよう、シミュレーションの条件を調整しています。

災害再現コンテンツ・教育映像・ドキュメンタリー映像など、実写では撮影困難な自然現象を映像化する用途に対応しています。

粉体混合シミュレーション

工業製品内部での粉体の動きを可視化した作例です。粉体は固体でありながら、集合体として液体に近い流動性を示す物質です。この特性を液体シミュレーションのパラメータ調整によって再現しています。粘度・重力・粒子間の相互作用を液体とは異なる条件で設定することで、粉体特有の堆積・流動・拡散の挙動を表現しています。

工業製品の中で粉体がどのように動くかは、製品の性能や品質に直結する重要な要素ですが、実際の機器内部を目で見ることは困難です。流体シミュレーションCGによって内部挙動を可視化することで、製品紹介映像・展示コンテンツ・技術説明資料として活用できます。営業現場で「見せながら説明できる」映像として、複雑な仕組みを直感的に伝える手段になります。

粉体を扱う製造業・食品・薬品・化学分野において、製品の動作原理や特長を視覚化したい場合に有効な表現手法です。

渦巻き再現シミュレーション

多方向からの流入と外力の影響によって生じる渦の発生・発達・消滅を映像化した作例です。渦の形成は複数の力が複雑に作用した結果として生まれるため、手描きアニメーションでは自然な動きの再現が難しい現象のひとつです。物理演算によってシミュレートすることで、力の相互作用が生み出す自然な渦の動きを再現しています。

制作アプローチとして2つの方向性があります。ひとつは「再現したい動き」を目標として設定し、そこに近づくようにパラメータを調整していく方法。もうひとつは「影響する力の条件」をシミュレートし、その結果として生じる動きを映像化する方法です。目的によってどちらのアプローチが適切かを判断し、映像として伝わる形に仕上げます。

流体の流れや渦の発生を説明する理工系の教育コンテンツ、装置内部の流れを説明する技術映像、流体の動きを演出に使ったプロモーション映像など、幅広い用途に対応できます。

水流シミューレション

浸水の様子を流体シミュレーションで再現した作例です。災害体験コンテンツや避難訓練教材において、浸水映像は視覚的なリアルさが求められる重要な要素です。実際に水を使った大規模な浸水実験は、安全面・コスト面から現実的ではありません。3DCGであれば、水量・流速・浸水の広がり方を安全にシミュレートし、映像化できます。

水の動きは粒子単位で物理演算されているため、スローモーション処理や任意のカメラアングルへの変更が可能です。正面から迫ってくる水の勢い、横方向への広がり、障害物への衝突と跳ね返りといった複雑な挙動も、物理演算に基づいた自然な動きで表現しています。

迅速な避難行動につなげるためには、視覚的なリアルさが重要です。「実際にこういう状況になる」と体感できる映像を制作することで、教育・啓発コンテンツとしての効果を高めます。自治体・防災機関・教育機関向けの防災コンテンツ制作にも対応しています。

ジェットエンジン動作イメージCG

ジェットエンジン内部を流れる空気の動きを流体CGで可視化した作例です。エンジン内部は高温・高圧の環境であり、実際の動作中に内部を目で確認することはできません。3DCGによる可視化は、こうした「見えない動き」を映像として伝える手段として特に有効です。

内部を流れる空気を白い気体として表現し、エンジン内部の高熱源の発光表現と組み合わせることで、空気の流れと燃焼の関係を視覚的に伝えています。気体の流れる方向・速度・密度を色や透明度で表現することで、専門知識のない観客にも構造と動作原理が伝わる映像設計を行っています。

シミュレーション結果は複数のカットで共有できるため、異なるカメラアングルや演出条件での映像を効率的に制作できます。産業機械・航空・エネルギー分野における製品紹介映像、技術説明コンテンツ、展示映像として活用されています。

海面を進む船の白波のシミュレーション

船体が海面を進むことで生成される白波を物理演算で再現した作例です。白波の形状や大きさは、船体の形状・速度・海面下の構造によって変化します。これを手描きで自然に表現することは技術的に難しく、物理演算によるシミュレーションが有効な場面です。

波のシミュレーションでは、船体の動きに対する水面の応答を粒子単位で計算しています。意図して形を描くのではなく、物理条件の結果として波が生成されるため、船の速度や角度が変わるにつれて波の形も自然に変化します。この「演算によって生まれる自然さ」が、映像としての説得力につながります。

船舶・造船・海洋関連製品の紹介映像、海上輸送・物流関連のプロモーション映像、海洋シミュレーションの可視化コンテンツなど、水上を移動する物体と水面の関係を映像化したい場合に活用できます。

テトラポッドと波の関係

視覚的にわかりやすい液体表現の作例です。テトラポッドに打ち寄せる波の勢いが弱くなっていくのを視覚的に表現しました。波をメッシュではなく球体にし、スピードにより色を変えています。外見をリアルにするのではなく動きのみリアルな動作にしております。

液体の中を歩くシミュレーション

静止したみ液体中に動く物体が与える影響を視覚化しています。こちらも液体を小さい球体としてスピードにより色を変化させています。全く同じ人物の動きで液体の粘度だけを変えたり、重力を変えたりと物理的な条件を変えて視覚化出来るのは3DCG制作だからできることです。

流体によるモーショングラフィックス

液体の動きに追従した線を描いて生成されるモーショングラフィックスになります。

流体によるモーショングラフィックス

液体中に放出された球に線を追従させて描いたモーショングラフィックスです。

花モチーフのモーショングラフィックス

球の動きは上昇気流の動きで再現しています。花をモチーフとした描画にすることでリアルなものではないけれど動きがスムーズでリアルな独特の世界観を表現することも可能になります。

煙流体のモーショングラフィックス

煙の動きをラインで表現しています。物理演算で生成されるモーションになりますが、様々なパラメータを設定することで意図する動きを目指していきます。リアルなものからアニメ調まで幅広い表現が可能です。

流体についてご相談したいことがある方は

流体シミュレーションCGの制作についてのご相談は、用途・規模を問わず受け付けています。「こういうものを映像にできるか」という段階からお気軽にご相談ください。