空気の流れを視覚的に表現する3つの手法

目次

はじめに:なぜ空気の流れを可視化するのか?

空気や水などの「流体」は、目視でその動きを捉えることが難しいため、視覚的に表現する手法が求められます。風船や紙吹雪、煙などを用いて流れを可視化する方法もありますが、これらは必ずしも意図する動きを正確に再現できるとは限りません。特にプロモーションビデオ(PV)などで理想的な状態を表現するには、CGを活用した視覚化が効果的です。
CGで流れを視覚化する際に、いくつかの手法が用いられてますが、その方法についてご紹介致します。

空気の流れを可視化する3つの手法

そこで、意図した表現で視覚化を行う方法を3つご紹介します。

ラインによる流れの可視化|簡易・効果的なエアフロー表現

ラインによる表現は、空気や風、水などの流れを視覚的にわかりやすく伝えるために用いられるもっとも基本的な可視化手法のひとつです。映像やCG制作では、対象物の周囲に複数の流線(ストリームライン)を描画することで、視聴者に流れの方向や速さを直感的に可視化することができます。

・映像編集ソフトや2D/3D CGツールで短時間かつ低コストで実装可能。
・ラインの色や太さ、アニメーション速度を調整することで、流れの強弱や速度変化も表現できる。
・空気清浄機やエアコン、建築物の空調シミュレーションなど、様々なシーンで使われています。

・オブジェクトの裏側の流れや複雑な立体構造の描写には不向き。
・あくまでイメージ的・概念的な表現になるため、精密な流体挙動を再現する用途では他手法と組み合わせるのがおすすめ。

比較的単純なオブジェクトや、動きのシンプルなシーンにおすすめの手法です。

平面を使った3Dフロー表現|リアルな立体感・インパクト重視

平面を使ったフロー表現は、CGソフト上で板状のオブジェクトを用い、その板が空気の流れに沿って動くことで、空間内の立体的なエアフローを表現する方法です。
板自体に半透明やグラデーションのマテリアルを設定し、光や影の影響も計算させることで、合成とは違った反射も表現できますので、リアリティが向上します。

・3D空間上で流れを自由にデザインでき、奥行きや立体感のあるダイナミックな映像表現が可能
・CGでレンダリングすることで、オブジェクトや背景と自然に馴染ませることができる
・医療機器や工業製品、換気設備の紹介映像など、より精密でリアルなプレゼンテーションに最適

・板の枚数や形状によって制作工数・レンダリング時間が増えるため、簡易的な用途にはやや不向き
・板の動きや重なりを制御する際、自然な流れに見えるようアニメーションやカメラワークに工夫が必要

3Dでの制作なので、視覚的に矛盾のない立体的な表現が可能です。構造的に表現が複雑な場合はラインよりもこちらが理解度が高まるケースもあります。

流体シミュレーション|物理演算を活用したリアルなエアフローCG

流体シミュレーションは、物理演算に基づいた処理(Physics Engine)で、空気・煙・水などのリアルな流れを仮想空間上で再現する手法です。粒度、粘度、密度等のデータをもとに演算処理にて動きを制作していきますので、リアルな動きが再現できます。
高度な演算を行うことで、実際の動きに類似した動きを再現することも可能ですし、意図した動きに制御することも可能です。

・実際の煙や水流とほぼ同じ物理的挙動(渦の発生・流速の変化・障害物への巻き込みなど)を再現可能
・科学コンテンツ、環境シミュレーションなど、リアリティが重視される用途で圧倒的な説得力を発揮
・他の手法に比べ圧倒的にリアルな動きが可能

・複雑なシミュレーションでは、制作に大きな計算リソースと時間が必要
・シミュレーションの条件が複雑なため、事前の詳細なデータ提供が必要なケースもあり

液体・気体の細かい挙動も実際のものに見えます。様々な種類のフォースにより制御できますので意図した動作の再現が可能です。見た目のリアルさでは他にない圧倒的な説得力があります。

まとめ

今回示しましたような方法以外にも矢印でベクトルを表現したり、たくさんの点を描画して動きを表現する方法もあります。一般的にはラインで表現されることが多い印象ですが、流れやその方向動きを表現するには有用な方法だと思います。この表現方法で物足りない場合に他の表現方法を探していくということで良いと思います。
あるいは、学術的な表現を目指す場合は線ではなく矢印を用いたり、点の色を速さや時間で変えることで可能になります。

流体の可視化はPVや教材等の幅広い分野で使用されています。その全てにおいて流体シミュレーションによる表現は不要だと思います。しかしながらリアルさを追求する表現のCM等においては絶対的に必要とされる技術でもあります。

流体や、動きの可視化、その他CG制作に関するお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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