
「数社から相見積もりを取ったが、価格の差が大きすぎて比較ができない」
「一式という項目ばかりで、何にそんなにお金がかかるのか不透明だ」
特に工業製品、精密機械、ヘルスケアといった「技術解説」を行うPV・CG制作において、こうした疑問を持たれる方は少なくありません。
そこで本記事では、CG制作費用の相場も含めて価格の内訳や、高くなる要因がどこにあるのか解説してみたいと思います。
【2026年最新】分野別・CG制作外注の費用相場
まず、CG制作費用の相場ですが、制作する時間の長さや解像度、仕上げのクオリティで価格は大きく異なりますが、相場感としてまとめると以下のようなイメージになります。
| 分野 | 費用(目安)・60秒 |
| 簡易的なCG・短尺映像 | 30~50万円 |
| エンタメ系エフェクトCG | 40~80万円 |
| 商品・サービス紹介CG | 50万〜100万円 |
| 工業・機械解説CG | 100万 〜 150万円 |
| ヘルスケア・医療CG | 100万 〜 200万円 |
これらはあくまで目安ですが、同じ「60秒」の映像でも、エンタメ系のCGと工業系CGでは、制作プロセスと工程の内容が異なりますので費用にも大きな開きが生まれます。
以下では、この中でも工業機械・ヘルスケア・解説系CGの価格について詳細に見ていきましょう。
なぜ「工業機械・ヘルスケア・解説系CG」の見積もりは分かり難く、高いのか?
工業機械やヘルスケアの解説CGにおいては、構造や機構が複雑になりがちになります。工程が多くなり、複雑になるが故に、見積もりでは「一式」と書かざるを得ず、故にブラックボックスと化してしまいます。
ここでは、詳細な内訳でも見えないコストの要因について見ていきます。

CADデータの「変換と最適化」という職人芸
設計用のCADデータは、そのままでは映像に使えません。数万点のパーツから不要なボルトを削り、CGソフトで動くようにデータを軽量化・再構築する工程が必要になり、この作業の難易度が、見積もりに直撃します。
CADデータの取り扱いに慣れていることはもちろんですが、最適化の手順やどこまで引き算を行うのかという点については、経験によるノウハウが必要になってきます。
また、CADデータという機密情報を扱うという事をきちんと認識できることも重要です。
技術理解のための「ラーニングコスト」
クリエイターが表現したい技術の概念や、特徴、あるいは医療的なエビデンスを理解できない場合、資料を読み解くためだけに膨大な時間が費やされます。この「勉強代」が見積もりに乗っているのです。
特に工業機械といった、専門性の強い分野については、担当者のロジカルな思考や整理する手順が重要になります。担当者に十分なスキルがない場合は、ディレクターや技術解説者とのミーティング等も必要になってきます。

最終イメージ共有の不在による「迷走」
最終的なクオリティイメージが共有できていない場合は、クリエイターはその良心から細部を追い込みすぎたり、不要な演出に凝ってしまいます。このクリエイターの本能ともいうべき「良いものを作りたい」というプロ意識が結果として予算オーバーを招いてしまうこともあります。
どこまでの再現が必要なのか、どのクオリティで統一していくのか、といった最終イメージが作業開始時点で共有できていないと結果として修正や調整が必要になってしまう可能性もあります。
「中間マージン」の積み上げ(下請け・孫請け)
大手制作会社や広告代理店に見積もりを依頼した場合、実際に手を動かすのは「さらに下の制作会社(下請け・孫請け)」であるケースが少なくありません。そのような場合においては、代理店の管理費(20〜30%)、一次請けのディレクション費(10〜20%)が中間マージンとして発生し、これらが重なることで、実制作にかかる費用とは無関係なコストが雪だるま式に膨らんでいきます。
注意が必要な「さらなるコスト高」の要因
更に、無駄な工程や作業の発生によりコスト高くなっていきます。
・情報の伝言ゲーム 営業 ➡ PM ➡ ディレクター ➡ 外注先。この多層構造が情報の希釈と、ミスを防ぐための「余計な予備費」を生みます。
・間違いの多いコミュニケーション: 記録に残らない電話や、目的のない定例会議。これらはすべて、人件費としてお客様の見積書に跳ね返っています。
解決策:ブラックボックスをこじ開けるコスト最適化術
ここまでで解説した要因を解消することで、クオリティを維持ししつつ、コストを抑制することが可能になります。具体的な方法を見ていきましょう。

CGを使用する部分を限定する(CG化する部分を相談する)
写真やイラスト、既存の撮影動画を活用し、必要な部分にのみ解説のCGを使用することで、制作のコストを抑えることができます。伝えたい内容の中で、どこを重点的にCG化するのか、あるいはCG化は本当に必要なのかを考えることが必要です。制作会社に相談した場合に「ここはCGでなくても良いですね」というコメントがもらえるような制作会社さんなら安心できるのではないでしょうか。
提供する資料を整理する
製品の機能や特徴を理解する際に必要となる資料を整理した状態にすることも重要です。資料に番号を付与したり、重要なものはどれかが明確に分かる状態にしておくことで、制作者のラーニングコストを下げることが出来ます。
「作る人間」と直接やりとりできる会社を選ぶ
実際に手を動かして制作する人間、あるいは制作を監督するディレクターと直接やりとりすることで、伝言ゲームやニュアンスの変化を避けることができます。特徴や機構を理解できている人がきちんと制作(あるいは統括)することがスムーズな進行につながります。
制作する人とやりとりする、という面で考えるとフリーランスの方に任せるというのは良い選択肢のひとつです。ただ、フリーランスには玉石混交の面も否めませんので、信頼できるフリーランスの方を見つけておくことが重要です。
最初に予算とクオリティを明確にする
クリエイターにとって「クオリティが低い」は最大の屈辱の言葉になります。当然これを避けるために、高いクオリティを求めて制作を行うのがクリエイターです(と私は思っています)。
したがって、目ざすべきクオリティがない場合は、最上のものを作ろうとして、費用が高くなってしまいます。これを回避するために、必要なクオリティ(画質やテイスト)を明確にしておくことで過剰なクオリティや工数増加を避けることが出来ます。
また、最初に「予算は20万円です」と明確な金額を伝えることで、その金額内で何ができるのか、どのような表現なら対応可能であるか、といった具体的な内容を引き出すこともできます。

フィジカルアイが提供できる「理系的・合理的」な制作プロセス
私たちは、芸術的なこだわりではなく「エンジニアリング的な合理性」で映像を組み立てていきます。
また、フィジカルアイではインストラクショナル・デザインの思考に基づいた映像が作成できます。
この考え方で作らた映像は、「伝えるべき事」を確実に伝わる構成となりますので、視聴者のラーニングコストも抑えることができます。
まとめ:CG制作のコスト「要因」で決まる、納得できる選択を。
「高い」と感じる3DCGのコストも、要因別に分解すれば、どの部分が削れるかは「お客様の選択」次第となります。
「CADデータを用意して工数を下げるのか」「CGにする部分を限定して計算時間を削るのか」 発注側でできる工夫はたくさんあります。決して、制作会社のブラックボックスにされるがままになる必要はありません。
実制作は制作会社に委ねるとしても、何をどのように見せたいのか、に関しては発注者側に主導権があります。
もしあなたが「どこを削り、どこに投資すべきか」の判断に迷われているなら、まずは私たちにご相談ください。
「CADデータが揃っていない」「実物の写真しかない」という段階で構いません。私たちは、技術を正しく、速く伝えるための「エンジニアリング」の視点から、貴社にとって最も合理的な解決策を提示させていただきます。

石水修司 株式会社フィジカルアイ代表/Adobe Community Expert
ベーマガに熱中した少年時代から、ベータカム時代の映像制作を経て、現在は3DCG制作のプロとして生成AI技術を活用した映像表現を手がけている。
Lancer of the Year 2016、CGWORLD「CGごはん」選外優秀賞。今治市在住。