火山噴火による噴煙の可視化(流体シミュレーション)

目次

撮影が困難なシーンを可視化

火山噴火による噴煙を、3DCGで可視化した事例です。

このような現象は、実際に見せたい場面がある一方で、実写で扱うには大きな制約があります。現地での撮影は危険を伴いますし、必要な位置や距離、タイミングで都合よく記録できるとは限りません。過去の事例は撮り直すことができず、まだ起きていない想定ケースであれば、そもそも映像素材そのものが存在しません。
また、防災の面からいうと、必要になるのは「撮れた映像」ではなく、「伝えるための映像」です。
本事例では、噴煙がどの方向へ流れ、どの程度の量で噴き出し、どう広がっていくのかを、理解しやすい形で見せることを目的に可視化を行いました。

抱えていた問題

火山噴火の噴煙は、存在している映像があればそれで十分、というものではありません。
断片的な記録映像だけでは、全体の流れや広がり方を説明するには足りないことがありますし、説明に必要な視点そのものが存在しない場合もあります。

特に、防災、研究、展示、映像表現といった用途では、「噴火の映像があること」よりも、「溶岩・噴煙がどう動くのかを理解できること」のほうが重要です。そのためには、実写の代わりを作るのではなく、見せたい現象を整理したうえで、意図を持って再構成する必要がありました。

フィジカルアイの解決アプローチ

今回の制作で重視したのは、煙らしく見える映像を作ることではありません。
大切にしたのは、理論上の動きとして違和感のない挙動を、説明に使える形で映像化することです。

そのためにまず行ったのは、噴煙がどの方向へ流れるのか、どの程度の量で噴き出すのかといった前提条件の整理です。ここでは、専門家の意見も参考にしながら、目標となる挙動を先に定めました。

そのうえで、シミュレーション結果に任せるのではなく、風や摩擦などのフォースを調整しながら、目指す動きへ寄せていきます。つまり、偶然それらしく見える形を待つのではなく、「こう動くべきだ(過去の場合は、こう流れたという事実)」を明確にして、その基準に向かって挙動を組み立てていきました。

制作のポイント

先に、目標となる挙動を決める

最初に考えるのは、噴煙がどの方向へ立ち上がり、どう流れていくのかを明確にし、それをどのように見せるのかを設計することです。
ここが曖昧なままでは、シミュレーションはできても、「何を見せたい映像なのか」が曖昧になります。
逆に、見せたい現象が整理できていれば、表現の判断基準もはっきりします。

専門的知見を踏まえて、前提条件を組み立てる

噴煙の方向や噴出量は、見た目の印象だけで決めたものではありません。
専門家の意見を参考にしながら、理論上あり得る動きとして成立することを意識して設計しています。
映像として見やすいことは重要ですが、それだけでは説得力は生まれません。
「なんとなくそれっぽい」ではなく、「こういう条件なら、こう動くだろう」と受け止められることを重視しました。

フォースを調整して、目指す動きに寄せる

目標とする挙動が定まったら、そこに向けて条件を詰めていきます。風や摩擦などのフォースを調整し、噴煙の立ち上がり方や流れ方、広がり方を整えながら、全体の動きを組み立てました。完全にシミュレーション任せにするのではなく、必要な方向へ導いていくことで、表現としての精度と、現象としての納得感の両立を目指しています。

実写では得られない視点で、現象を整理して見せる

3DCGによる可視化の強みは、危険を冒さずに、必要な視点から現象を見せられることです。
過去の事例でも、まだ起きていない想定ケースでも、伝えたい内容に合わせて見せ方を設計することができます。

本事例でも、噴煙を再現すること自体が目的ではありません。
撮影が難しい現象を、理解しやすく、説明に使える映像へ変えることを目的としました。

X-particlesでのマグマ
TFDによる噴煙

お問い合わせ

危険を伴う現象、過去にしか存在しない事例、まだ起きていない想定ケースなど、実写では扱いにくい対象でも、3DCGによって可視化できる場合があります。

フィジカルアイでは、見た目の演出だけではなく、伝えるための設計を踏まえた映像制作を行っています。
説明しにくい現象の可視化についても、お気軽にご相談ください。


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石水修司 株式会社フィジカルアイ代表/Adobe Community Expert
ベーマガに熱中した少年時代から、ベータカム時代の映像制作を経て、現在は3DCG制作のプロとして生成AI技術を活用した映像表現を手がけている。
Lancer of the Year 2016CGWORLD「CGごはん」選外優秀賞。今治市在住。

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