映像制作・動画編集をしていると、撮影素材やテロップだけでは表現しきれない「動き」や「仕組み」の解説シーンに出会うことがあります。とくに教材や構造解説では、どう見せれば“伝わる”のか悩む場面が少なくありません。
After Effectsでイラストを動かすことはできても、立体的な構造や内部の動作を説明しようとすると、一気に難易度が上がります。「形を一から作る」「奥行きのある構造を破綻なく見せる」——ここで行き詰まったことがありました。
そんなとき、テレビ番組などで使われている解説CGのわかりやすさに、感動したことがありますが、
「こんな伝わる映像が作れるCGとは何なのか?」
「自分で作れる? 依頼するとしたら、どこにどう頼めばいいのか?」
そんな思いにも駆られました。
この記事では、そうした疑問を持つ方に向けて、現在のCG制作について「作り手の視点」から分かりやすく整理します。2026年現在のCGと、CG制作について、実際にCG制作を行っている本人が作っている立場からわかりやすく解説してみたいと思います。

CGとは?
一般的に映像制作・編集の現場では、撮影素材とテロップで映像が構成され、詳細な特徴や機能についてはテロップとイラスト等の組み合わせにより解説が行われます。しかしながら、工業製品やヘルスケア分野といった詳細かつ複雑な特徴や機能の解説においては、これらでは少々物足らない場面が出てくることがあります。そのような場合において、CGが活用されます。
CG(Computer Graphics)とは、コンピュータで制作される映像全般の事で、映像の中で「カメラに映らないもの」や「言葉だけでは説明しきれないもの」を、視覚的に理解できる形にして伝えるための表現として使用されています。
CGという分類は、実は大きなもので、その中には、3Dのものもあれば、2Dのものも含まれます。ここではまず映像作品において使用されるもので、一般的なものの種類についてみていきましょう。
CGの種類
種類と一言で言っても、様々な分け方もありますが、ここでは一般的に映像作品に使用する場合の分類で考えていこうと思い、以下で分けてみました。
・3DCG
・モーショングラフィックス
・VFX
・アニメーション(2D)
・その他

3DCG(形状や構造を正確に再現、立体として見せる)
3DCGは、製品や装置を3次元データとして作り、立体の映像として見せる表現です。立体物として構成していきますので、いろんな角度から見ても形状が崩れることがありません。
特に工業機械や実際の撮影物への合成物の制作においてはこの立体物として正確であることが重要になります。
- 正確な形状の再現(CADや図面を元に立体的な構造が再現できる)
- 内部構造が見える(透過・断面・分解など、見せたいものだけを表現できる)
- 動作を整理できる(部品の動き・流れの順序を整理することができる)
実際の撮影では、うまく表現できないものを、視覚的に正確に表現できるのが3DCGです。
モーショングラフィックス(説明・理解を“成立させる”ための動く図解)
モーショングラフィックスは、ざっくり言えば「動く図解」です。
矢印・注釈・図形・文字などを使い、“ここを見てほしい”“こういう順序で理解してほしい”を設計します。
モーショングラフィックスは単に動くというものではなく、動きに意味をもたせる点が重要になります。
また、動きについても、平面やイラストを動かすアニメーションのようなものから、3D空間と物理演算を用いたリアルな動きを用いたものまで様々なものがあります。
どのような手法・テイストを用いるかは、伝えたい内容や、映像の趣旨により変わりますが、単に動いているのではなく、動きに意味があるものが、モーショングラフィックスと呼ばれます。
VFX(実写映像にCGを合成する)
VFXは、実写映像にCGを合成する表現です。
現在の映画や映像作品では演出のひとつの要素として3DCGが用いられることが多くなりました。また撮影コスト削減の目的でCGが活用されることもあります。
リアルなVFXには、多くの工程と、専門技術・専門知識が必要になり、3DCG・撮影・編集の高度な知識と経験が求められます。
アニメーション(2D)
アニメーション(2D)は、キャラクターやイラストでストーリーを伝える表現に強みがあります。
リアルすぎないという点は、解説や状況説明では感情移入しすぎないという面で優れ、直接的な表現が適さないコンテンツではこの表現が使用されます。
最近では、Unity等の3Dツールを使用したアニメーションも増えており、アニメ(2D)という区分が曖昧になってきているのも事実です。3Dを使用しないアニメは独特の味がありますので、表現方法の一つとしては重要です。
その他
テレビ制作においては、テロップのことを「CG」と分類します。テロップには、字幕スーパーと呼ばれるセリフやト書きを文字化したものと、演出的な意図のある文字装飾があります。この場合においては、CGと3DCGでは意味が全く異なりますので、覚えておくと良いと思います。

どのように使い分けるのか?
様々な種類があるCGですが、その使い分けはどのようになっているのでしょうか?
多くの場合においては、目的・表現するもの・どのように見せたいのか、といった観点から最適なものを選択していくことになります。
そこで、得意な分野とオススメの用途別にまとめてみました。参考に最近活発になってきたAI動画も入れてみました。
| 種類 | 得意なこと | オススメ用途 |
| 3DCG | 形状精度、内部構造、一貫性 | 製品PV、構造説明、技術解説 |
| モーショングラフィックス | 流れの整理・意味づけ、強調効果 | イメージ演出 |
| VFX | 実写の演出効果 | 実写のイメージ補強、演出追加 |
| アニメーション(2D) | 様々なテイスト、タッチ | 汎用性の高いイメージ |
| AI動画 | 短納期、バリエーション化 | ラフ案、イメージ |
機械の構造や動きを紹介する商品PVでは3DCGが用いられ、ヘルスケア分野では3DCG+モーショングラフィックスが用いられるという具合です。それぞれの単体ではなく、必要に応じて様々に組み合わせられて映像が出来上がっていく場合が多いように思います。
❓️AI動画は簡単で安いのでは ━━━━━
確かに、簡単に映像が出来上がるので大変便利です。
しかし、目的の流れや形状、動きを正確にAI動画で再現しようとすると、なかなか思うようにいかないのが現実で、現状(2026/01時点)では、フレームや動きの指示をCGを組み合わせて映像化することで、目的に応じたものにしていく必要がありますので、AIだから簡単、安い、と言い切ることは難しいのです。
次は、3DCGの得意分野について具体的に見ていきましょう。
3DCGの得意分野
3DCGは形状の再現や内部構造の再現が得意分野であると、先にお話しましたが、改めてまとめると、下記の点に優れています。
・形状の正確さ(CADデータの活用も可能)
・内部構造の可視化(透過、断面、分解・組み上げのモーション)
・動作の可視化(動きの流れ、それぞれの関連を順に見せる)
・リアルな表現(物理演算によるリアルな挙動を再現可能)
これらの内容について、実際の作例を見ていきましょう。
形状の正確さ
設計図(CAD)データを活用することで、実際の商品と全く同じ形状を再現することが出来ます。CADデータがない場合も、各パーツのサイズや形状を図面から再現することが出来ますので、実物と変わらない形状・質感を再現することが出来ます。
また、機密情報が含まれるような場合は、その部分のみを簡略化したり、省いたりすることも可能です。

内部構造の可視化
動作中の内部構造を撮影することは困難ですが、3DCGであれば可視化が可能です。
例えば、エンジン内部で行われる、吸気・圧縮・膨張・排気というストロークを可視化することでより内部の動きの理解が高まります。
一つ一つのパーツが正確に動作を再現することで、実際の商品の映像としてイメージすることが出来ますので、商品の機構や特徴を理解するツールとしては最良のものであると言えます。

動作の可視化
単体での構造がどのように機能するのか、、と書いても分かりづらいと思いますが、右の映像を見て頂くとわかりやすいと思います。
※大きい画面でみたい方はこちら(youtube)
動くことで、どのように組み合わさるのか、ということが視覚的に理解できます。同様に流れや、動きのあるものも3DCGの映像化でわかりやすい資料にすることが出来ます。

リアルな表現
動きのリアルさは、説得力が格段に違います。
物理演算による動きは実際の動きをシミュレートしたものですから、本物の動きのように見え、それは商品特徴や現象がどのように作用しているかを伝えるのには最適な手法です。
単なるイメージではなくシミュレーションを行った映像は、「あぁそういう動きになるんだ」と視覚から納得できる材料を提供することができるのです。

その他作例
更にCGについての説明資料
これ以上ここで深掘りすると情報量が多くなりすぎるので、
ここからは目的別に、参考になる記事をご紹介します。
依頼をする際の全体像を掴みたい
依頼の流れ・費用の考え方・外注先の選び方まで、全体像がまとまっています。

言葉(用語)を知りたい

CGの「基礎」をもう少し整理したい

外注先選びで失敗したくない

費用感を掴みたい(見積を考え始めた方向け)

弊社の費用感まとめ

まとめ
CG制作は、見えない仕組みや価値を「誰でも理解できる映像」に変換するための手段です。
迷ったときは、まず目的(誰に何を理解させたいか)を決めると、必要な表現が見えてきます。
この記事が、CG制作を検討する際の入り口として役に立てば嬉しいです。
そして、誰かに相談に乗ってもらいたい!と思ったら、お気軽にご相談ください。お待ちしております。

石水修司 株式会社フィジカルアイ代表/Adobe Community Expert
ベーマガに熱中した少年時代から、ベータカム時代の映像制作を経て、現在は3DCG制作のプロとして生成AI技術を活用した映像表現を手がけている。
Lancer of the Year 2016、CGWORLD「CGごはん」選外優秀賞。今治市在住。